今日は目の愛護デー


‥‥ということで、自分の目にまつわるお話を。


 一昨年の10月7日、木曜日。
右目の見え方に違和感を感じていた自分は、K市内の眼科医を訪れました。その前の土曜日辺りから、右目の視野右下の一部が、まるで薄いフィルム状の鏡が水の中をそよぐかの如く、眼球の動きに合わせてゆらめくようになっていたのです。しかも日が経つにつれて、そのゆらめく部分が影のように次第に暗くなってきていました。
 視力検査の後、レンズ越しに目に強い光を当てて眼底検査。


診断結果は『右目網膜剥離


 元々強度の近視で、目を酷使する仕事にも就いていたとは言え「網膜剥離といえばプロボクサーの職業病」くらいの認識しかなかった自分にとっては、全く予想だにしない結果でした。それに追い打ちを掛けるように、診察した医者からは「手術以外に治療法はありません」「放っておけば失明します」と散々脅され(確かにどちらも事実ではあるんですが)、手術はおろか入院すら経験したことのない自分は暗澹たる気持ちになったのであります‥‥。_| ̄|○i|||i
 この眼科医では網膜剥離の手術が出来ないため、その日のうちに同じK市内の総合病院に向かい、改めて検査を受けましたがもちろん結果は変わらず、翌8日に入院して手術を受けることになりました。


 眼球の中は「硝子体」という透明なゲル状の物質で満たされていますが、この硝子体は網膜に癒着することがあり、また加齢と共に収縮し、繊維状の物質と水分とに分離します。その収縮の際に癒着した網膜が引っ張られて裂け目が出来、そこから水分が入り込んで剥がれる‥‥というのが、自分が罹った「裂孔原性網膜剥離」のメカニズムだそうです。網膜の表面にある視細胞は眼球壁から酸素や養分の供給を受けていているため、網膜が剥がれるとその供給がストップして細胞の機能も失われてしまいます。ゆらめいていた部分が次第に暗くなっていったのはこのせいだったのです。


 手術は全身麻酔で、まず剥がれた部分から水分を抜いて網膜を元の位置に戻し(復位)、裂け目をレーザー凝固で塞ぎ、そして眼球内に(自然吸収される)ガスを注入するという内容。ガスは復位した網膜を眼球壁に押し付けるためのものですが、硝子体に満たされた眼球内で眼底にガスを当てるには顔を下に向けなければなりません。かくして、起きているときはずっと下を向いたまま、寝るときはうつ伏せ‥‥そんな日が二週間あまり続きました。入浴や洗髪はもちろん、洗顔・歯磨き・ヒゲ剃りも禁止。ジッとしているのがこれほど辛く感じられたことはありませんでした。
 経過は順調で、10月末に一度は退院したものの、なんと一週間後に再発して病院に逆戻り。しかも白内障が進んでいたため、手術では網膜の復位と併せて人工レンズ置換(これでピント調整機能が失われる)も行われました。二度目の手術・入院を終えて仕事に復帰したのは、12月の初め頃でした。


 とりあえず何事もないまま2年が過ぎようとしていますが、最初の剥離で失われた右下の視野は回復せず、真っ直ぐなものが歪んで見えるのも相変わらず。左目の白内障も少しずつ進行しているようです。


目は一生モノです。皆さんも目を大切に!